大腸ポリープ切除

大腸ポリープはどんな病気?

大腸粘膜の細胞が異常に増殖して形成され、隆起することが多いのですが、平坦なものもあります。大腸全域にできる可能性がありますが、最も発生が多いのは肛門に近い直腸とS状結腸です。
腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられ、大腸ポリープの多くは腺腫の腫瘍性ポリープです。腺腫の大腸ポリープは良性ですが、放置していると一部ががん化することがあり、それが時間をかけて大きくなって大腸がんになります。多くの大腸がんは腺腫から発生していますので、腺腫の大腸ポリープを切除することで将来の大腸がん予防に役立ちます。

大腸ポリープの原因

大腸ポリープは遺伝子の異常によって生じると考えられています。高カロリーの食事、加工肉摂取、肥満、アルコールの過剰摂取、喫煙など、様々なリスク要因が大腸ポリープのがん化に関与すると考えられています。
大腸がんは日本人の罹患者数やがんによる死亡原因でも上位を占めています。大腸がんや大腸ポリープになった血縁者がいる場合も大腸がんの発症リスクが高いと考えられています。
大腸がんは50歳以上で発症数が上昇し始めますが、ゆっくりがん化する大腸ポリープを早期に発見して切除し、大腸がん予防に役立てるためには40歳を超えたら定期的な大腸カメラ検査を受けることが有効です。

大腸ポリープの症状

大腸がんになっても早期には自覚症状が乏しく、前がん病変の大腸ポリープではさらに症状を起こすことが少ないです。それでも、ポリープができた場所や大きさなどの条件によっては下記のような症状を起こすことがあります。なお、こうした症状は大腸がんと大腸ポリープのどちらでも生じることがあり、早急に大腸カメラ検査を受ける必要があります。

など

大腸ポリープ切除の重要性

大腸ポリープの多くは良性の腺腫ですが、放置して大きくなるとがん化することがあります。実際に大腸がんの多くは放置された腺腫の大腸ポリープから発生しています。腺腫の良性ポリープを切除することで大腸がんによる死亡率が低下することが証明されております。腺腫の大腸ポリープは前がん病変と呼ばれています。
大腸ポリープは大腸カメラ検査中に切除でき、当院では高度な研鑽を積んだ専門医が日帰り手術として検査中に大腸ポリープ切除を行うことが可能です。

当院では日帰り大腸ポリープ
切除手術を行っています

当院では、経験豊富な消化器内視鏡専門医が、大腸カメラ検査と、検査中の日帰り大腸ポリープ切除手術を行っています。他院でポリープが発見された方のポリープ切除にも対応可能です。ただ、大腸ポリープの大きさや数、形状などによっては、入院による切除が必要になるケースも稀にあります。その場合は、東京警察病院やがんセンターや大学病院などの連携している入院可能な高度医療機関をご紹介しています。

大腸カメラ検査の際に発見されたポリープをその場で切除

大腸カメラ検査時に大腸ポリープが発見された場合や切除が適切であると判断された場合には、その場で切除する日帰り手術を行っています。もちろん、発見されたポリープを切除するかどうかは事前に患者様と相談して、切除を希望された方にのみ行っています。検査中に切除することで別日に切除のためのスケジュールをつくる必要がなくなり、事前の食事制限や下剤服用も1回で済みます。

他の医療機関で発見された
大腸ポリープを当院で切除

当院ではない医療機関で大腸カメラ検査を受けられた際に、内視鏡によるポリープ切除に対応しておらず、別の医療機関で切除する必要が生じることがあります。こうした際にも、当院で日帰り手術として切除することが可能ですのでご相談ください。

大腸ポリープ切除の方法

内視鏡の先端から、リング状のワイヤーのスネアを出し、それを大腸ポリープにかけて切除します。ポリープの形状などに合わせ、主に下記の3種類の切除を行っています。

ポリペクトミー

内視鏡の先端にあるスネアでポリープの根元を絞扼して切除する方法です。電流を流さずポリープを切除するコールドポリペクトミーと、高周波電流でポリープを切除するホットポリペクトミーがあります。

コールドポリペクトミー

10mm以下の大腸ポリープ切除に適しています。スネアを大腸ポリープにかけ、締め付ける力で切除します。切除時の出血が多少あった場合も止血処置で対応できます。術後時間が経過してからの出血や穿孔などのリスクが低く、安全性の高い切除方法です。

ホットポリペクトミー

10mm以上のポリープを切除する際に適応される方法が、高周波電流を使用するホットポリペクトミーです。この方法では、高周波電流によってポリープを切除することができますが、稀に深い層までの火傷が及ぶことがあります。このような火傷は、時間の経過によって出血や穿孔(せんこう)などの合併症を引き起こすリスクがわずかに存在します。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

10mm以上の大腸ポリープ、がんが疑われる大腸ポリープ、平坦な大腸ポリープに行われる手法です。粘膜下に生理食塩水などを注入して持ち上げてからスネアをかけ、締め付けて高周波で焼き切ります。下に生理食塩水がありますので、高周波を用いても下層に熱が伝わる危険性が無く、術後時間が経過してからの出血や穿孔のリスクも抑えられます。

Under Water EMR

10mm以上の大腸ポリープ、がんが疑われる大腸ポリープ、平坦な大腸ポリープに行われる手法です。消化管内腔を水で満たした状態で、スネアで絞扼して切除する方法です。 粘膜・粘膜下層が管腔内に突出し,それに伴い病変がスネアによる絞扼がしやすくなるメリットがあります。傷口が小さく済み比較的大きめのポリープも切除できます。

大腸ポリープ切除の費用

保険適用で受けるポリープ切除の日帰り手術費用は全国一律で決まっています。ただし、1割負担・3割負担などの負担割合により、金額が変わります。また、当日の検査結果によって費用が変わる場合があります。

  1割負担 3割負担
大腸ポリープ切除 約10,000円 約25,000円~33,000円 

大腸ポリープ切除後の注意点

大腸ポリープ切除の日帰り手術を受けた場合、食事や日常生活に多少の制限が1週間程度生じます。

食事について

切除当日

消化しやすいものを食べるようにしてください。

消化しやすいもの

など

切除後2~3日

高脂肪食や、刺激が強い食事は控えてください。

切除後1週間

禁酒を守ってください。

その他注意事項

入浴

切除後3日間は、シャワーのみ可能です。お湯に浸かるのは4日目から可能ですが長湯は1週間程度避けてください。なお、1週間程度はサウナに入るのも厳禁です。

運動や動作

切除後、1週間程度は腹圧のかかる運動や動作を行わないでください。軽い散歩程度でしたら翌日から行っていただいても問題ありません。

長距離移動

切除後1週間は、長距離移動をしないでください。長時間座りっぱなしで移動による揺れが加わり、腹圧が上がって腸への負担が増え、出血リスクが上昇します。運転もできるだけ短時間に止めてください。また、飛行機は気圧の変化によって出血しやすくなりますので、1週間程度は短時間でも避けてください。

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